分子整合栄養医学というのは、血液検査を行ったうえで、生化学や栄養学などを利用して分析することで、体内に存在している栄養素の過不足を見極めるものです。血液検査を行っても、その結果を一般的な臓器別の疾患の有無を調べるために用いることはありません。栄養素が不足していたり、過剰しているといった状況が分かれば、それを正常な状態に戻すために必要な処置が施せるようになります。この分子整合栄養医学を使った栄養療法は、1960年代にはアメリカやカナダで広く行われており、その後、世界中に広がっていきました。分子整合栄養医学では、血液検査に基づいて得られた患者の実際のデータをもとに、どの栄養素がどれくらい不足していたり、過剰になっているのかが正確に分かります。
データで分かった過不足分を補うためにサプリメントを適量摂取することによって、患者が本来備えている治癒力を高めるのが目的です。そのすることで、病気が進行するのを防止したり、症状を改善させたりできるようになります。まだ病気になっていない場合でも、栄養分を改善すれば病気予防につながるため、栄養療法は健康体の人々にとっても有用であるといえるでしょう。なお、栄養素の補給は食物を食べても当然行えるのですが、昔と比べると農薬や公害の影響や、栽培方法が変わったことなどによって食物中の栄養素が減少傾向にあります。そのため、食事を少し改善した程度では十分な栄養を補充できない可能性も考えられるのです。食物だけでなくサプリメントも使って効率よく栄養を確保するというのが健康の秘訣であるといえるでしょう。